配管や機器ノズルなどを更新・補修した後に必要となる耐圧・気密試験を部分的に行える工法です。
同じ原理のアイソレーション工法は、溶接など火気作業時に安全性の高い縁切りを行うことが可能です。
CARBER社(米国)とライセンス契約を締結し、国内では当社のみが施工可能な独自工法です。
特長
部分耐圧試験工法(WT)
耐圧試験の負荷やコストを最小化
従来は装置や配管全体に対し実施していた耐圧テストを最小限の範囲で行うことができます。これによりさまざまな付帯作業の負荷が軽減され、工程短縮やコストダウンに貢献します。
アイソレーション工法(ISO)
溶接作業などの安全性が向上
既設配管の縁切りなどにおいて、高い安全性を確保しながら溶接作業等の火気作業を行うことができます。ベンドパイプに背圧を監視する圧力計を取り付けることで、可燃性ガスなどによって内圧が上昇しても安全に圧力を逃がすことが可能です。
サービス内容
CARBER工法を用いた溶接線への部分耐圧試験(WT)と、これを応用したアイソレーション工法(ISO)による配管の縁切作業を行うサービスです。
作業の効率性と安全性を確保し、コストダウンや工期短縮に貢献します。
部分耐圧試験工法(WT)
溶接線のみを対象として、部分的に耐圧・気密試験を行える工法です。
法規関連工事の範疇において既設容器のノズル改造や配管改造を行う場合、通常、官庁から更新・補修部位への水張(耐圧)試験を実施するよう指導されます。この水張試験には、対象外の溶接部位の確認や基礎強度検討、多数の仕切板挿入作業、開放作業など、さまざまな付帯作業が必要になり、コストや時間が増大します。そこで、部分耐圧試験工法(WT)を導入することで、こうした付帯作業が不要になり、コストダウンや工程短縮が可能となります。
対象サイズ、最大耐圧値等
当社が保有する治具のサイズは1/2B~20Bです。この範囲内の金属配管に対応可能です。
これ以外のサイズ、あるいは特殊仕様などの場合は治具を製作して対応します。
対象部位 | 対象サイズ | 適用最大試験圧力 | |
---|---|---|---|
通常[MPa] | 高圧用[MPa] | ||
フランジ | 1/2B~24B | 15.5 | 34.5 |
容器ノズル | 1B~4B | お問い合わせください | |
6B~24B | お問い合わせください |
※表記以上の耐圧テストは協議により可能な場合もあります。
配管溶接線への部分耐圧工法(WT)適用イメージ
WNフランジの場合の施工
フランジ溶接線への部分耐圧工法(WT)適用イメージ
SOフランジの場合の施工
機器のノズル溶接線への部分耐圧工法(WT)適用イメージ
タワーノズル新設の場合の施工(裏キャップ方式)
機器本体の溶接線への部分耐圧工法(WT)適用イメージ
タワー胴体、大口径配管更新の場合の施工(特注治具製作)
アイソレーション工法
可燃性ガスの漏えいなどが懸念される配管縁切り作業において、高い安全性を実現する工法です。
部分耐圧工法(WT)と同様の原理により、高いシール性を実現。背圧側に可燃性ガス等があっても溶接作業などの火気作業を安全に行うことができます。ベントパイプが付属しており、背圧側のガスを一次側へ安全に逃がすことができます。
対象サイズ
当社が保有する治具のサイズは3/4B~16Bです。この範囲内の金属配管には即対応が可能です。
これ以外のサイズ、あるいは特殊仕様などの場合は、別途CARBER社から治具を製作購入して対応します。
アイソレーション工法(ISO)による配管縁切り施工イメージ
事例
石油精製プラント(タワー)
タワー部分更新に伴い部分耐圧試験(WT)を実施
高さ30mのタワートップシェルにおいて、約11m分の部分更新工事を実施することとなり、併せて溶接線の耐圧、気密試験(耐圧試験:1.17MPa 気密試験0.78MPa)が必要となりました。当初はタワー全体に水張りを行っての試験を検討しましたが、基礎強度を踏まえ、実施が困難と判断。部分耐圧試験工法(WT)を採用することで、無事に試験を完了できました。これによりタワーを横倒しにする必要もなくなったため、付帯作業の削減、工期短縮にも大きく貢献しました。
試験イメージ
石油化学工場(タンクマンホール)
大型ノズルの部分耐圧試験(トップハット方式)を実施
口径24Bの大型ノズル(マンホール)部の更新に当たり、トップハット方式による部分耐圧・気密試験を実施しました。
トップハット方式は、ノズル部分の耐圧・気密試験で従来主流だった裏キャップ方式と比べ、機材重量が少ないことが利点です。また、構造が中空式となっているため、治具設置箇所から槽内外への出入りも可能です。加えて、M/Hが1つしかない塔槽に適用できるため、採用範囲が広がっています。
本方式の採用により、現場の負荷を軽減しながら、速やかに試験を完了することができました。
試験イメージ
実績
法規関連工事に伴うCARBER工法の活用実績
- 配管、フランジ溶接の部分耐圧工法(WT)
保有治具による実績:規格1/2B~20B 合計 700箇所以上
特注製作治具による実績:規格20B以上~44B 11箇所 - 機器のノズル溶接線 部分耐圧工法(WT)
特注製作治具による実績:規格 3/4B~24B 合計41箇所 - 機器本体の溶接線 部分耐圧工法(WT)
特注製作治具による実績:規格30B、ID2400 2箇所
注:法規関連工事において既設配管や機器ノズルの更新等を行い、CARBER工法により耐圧試験を行った実績(業務は2008年より開始)
アイソレーション工法による縁切り等の実績
- 配管縁切り アイソレーション工法(ISO)
保有治具による実績:規格3/4B~16B 合計 120箇所以上
特注製作治具による実績:規格18B以上~26B 6箇所
注:可燃性ガス、有毒ガス中の作業など、ガスの漏えいが懸念される状況における火気作業に対して、アイソレーション工法による縁切りを行った実績(業務は2008年より開始)
よくあるご質問
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局部耐圧工法、縁切り工法の適用配管サイズを教えてください。
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一般的な配管であれば、局部耐圧工法(WT)で1/2B~20B、縁切り工法(ISO)は3/4B~16Bまで対応可能です。
これは当社の保有する治具で対応可能な配管サイズです。対応困難な規格については、CARBER社に治具を特注する必要があるため、作成期間についてはお問い合わせください。
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配管材質はどのようなものでも対応可能ですか?
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アクリル樹脂などを除く金属配管であれば材質は問いません。
耐圧・気密試験および縁切りに関するご相談があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。
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治具の販売や耐圧試験だけを依頼することは可能ですか?
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当社が溶接を実施した箇所を対象としたサービスですので、治具の販売や耐圧試験だけの提供はしていません。
資料ダウンロード
CARBER工法の解説資料をPDFでご覧いただけます。(「配管技術」2021年 1月号掲載)